アルパとは?

ハープのことをスペイン語で「アルパ」と言います。メキシコ、ペルー、ボリビアなど南米各地にあり、私が演奏しているアルパはパラグアイのもので、正確には「アルパ・パラグアジャ(Arpa Paraguaya)」と言います。国によって奏でる音楽やアルパの形も違いますが、その中でもパラグアイのアルパは楽器としての完成度が高いと言われており、パラグアイでは国民楽器としてポピュラーに演奏されています。またハープというと女性的な印象もありますが、現地に行くと9 割は男性が演奏しています。

大きさは、オーケストラなどに使われる通称クラシック・ハープに比べるとひとまわりからふたまわり小さくなっています。共鳴板の材質は杉または松で出来ています。弦は37 弦あり、音階は全音のみですので、白鍵しかないピアノを縦にしたようなイメージになります。主に左手でリズム、右手でメロディを奏でます。半音操作をするペダルが付いていないので、左手に「ジャベ」と呼ばれる金属をはめ、その金属を弦に押し当てて半音をだします。爪で弾くことが多いため、キラキラとした音色が特徴的です。また、アルパには楽譜がありません。演奏者によって表現方法が違うので、同じ曲を弾いても100人アルパ奏者がいれば100通りの演奏法があるといわれています。

アルパ画像

アルパの歴史

アルパは17 世紀にイエズス会の宣教師によって南米に持ち込まれ、教会で演奏されたのが始まりと言われています。その後、パラグアイ音楽を演奏するには欠かせない伴奏楽器として発展していきました。1908 年に生まれた「アルパの父」とも言われるフェリクス・ペレス・カルドーソ(Félix Pérez Cardozo)の誕生によってアルパは更なる進化を遂げました。彼は高度な技術を必要とする数多くのアルパの名曲を生み出し、アルパを芸術性の高いソロ楽器として確立させ世界に広めました。彼の出現以降、多くのアルパの名手によって伝統的な音楽は継承されつつも、一方で半音操作の出来るレバーを取り付けた「レバーアルパ」の開発や「ジャベ」の登場により幅広い音楽を表現出来る楽器として更なる可能性が広がりました。

代表曲

デザインOK後、組みなおし

ニャンドゥティ

ニャンドゥティ ニャンドゥティとはパラグアイの先住民の言葉、グアラニー語で「蜘蛛の巣」を意味する民芸品です。広げると美しい蜘蛛の巣のように見える大変色鮮やかで、様々な種類の模様があります。アルパを演奏する際には欠かせない舞台衣装としても大活躍ですが、衣装として1着完成させるまでに何と3ヶ月ほどかかります。

パラグアイ

アスンシオン空港(パラグアイの首都)に降り立つとまず聞こえてくるのがアルパの音色です。空港で働いている方がアルパを弾いて出迎えや見送りをされています。街は緑の生い茂るジャングルの中に赤土の大地と赤土で作られたレンガの住宅のコントラストが印象的です。少し田舎に行くと、今でも牛車がゆっくりと荷物を運んでいて、街角では40 度もの炎天下の下、冷たいマテ茶を片手に何時間でも井戸端会議をしている陽気な人たちが目立ちます。そんなパラグアイの人たちが生活する上で欠かせないのがやはり音楽です。パーティーやディナーの席で、一人がギターを弾き始めると皆が歌い始め、また一方ではアルパの演奏が始まり、そんな楽しい時間が朝まで続きます。パラグアイの人たちは自分の国の文化や音楽を心から愛していてそれを誇りに思っています。

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